株式会社ヴァーナロッサム登記簿謄本の調査により、2019年7月1日に役員に就任した
- 渡辺洋行 社外取締役
- 佐藤明夫 社外取締役(弁護士)
- 篠田憲明 社外監査役(弁護士)
- 従前から取締役であった大村拓也
これら4名が、2020年8月31日に辞任していた事が明らかになった(
intention@NGT48さん取得の登記簿謄本)。
大村拓也は、篠田憲明監査役の辞任の翌日、取締役から監査役に転じた。
ヴァーナロッサムは、役員に変動があった事実を、ウェブサイトで約1年間公開しなかった(
2020年4月29日アーカイブ、
2021年5月30日アーカイブ)。
もちろん、役員の変更が全ての会社でウェブサイトに公開されるとは必ずしも限らない。
登記簿謄本で確認可能であるので、期限内に登記を行えば責任は果たされていると言える。
非上場企業であれば代表取締役以外の取締役の変動はウェブサイトで公開される事の方が稀である。
しかし当該取締役変動は、公開するのが妥当である事情があった。
佐藤明夫弁護士は、「旧ジャスダック証券取引所でコンプライアンス委員長を務めた佐藤明夫弁護士」として日本経済新聞で報じられ、その記事では「(ヴァーナロッサム社は)新体制の発足にあわせてコンプライアンス(法令遵守・倫理法令遵守)や危機管理を担当する執行役員を置き、トラブルの未然防止に注力する。」とも記されていた(
日経新聞2019年7月1日)。
朝日新聞は「ガバナンス強化を目的に弁護士らが社外取締役となった。」と報じていた(
朝日新聞2019年7月1日)
佐藤弁護士は研修会(
DF監査役部会第8クール 第1回研修会)、記事執筆(
銀行を苦しめる「二律背反」を乗り換えるために:辣腕弁護士・佐藤明夫からの提言)のほか、慶應大学修士課程で講師を務める(
慶應大学サイト内PDF)など、コンプライアンスに関わる分野で精力的に活動している弁護士である(用語解説:
コンプライアンス 筆者: 三省堂編修所)。
すなわち、ガバナンス強化とコンプライアンス重視のアピールとして、佐藤明夫弁護士はAKS社外取締役に招かれ就任した筈であった。
しかし就任からわずか1年ほどで、佐藤弁護士は社外取締役を辞任(2020年8月31日)。
就任日が前年7月1日である事から任期による退任とは考えにくい(何より登記簿謄本に「退任」ではなく「辞任」と記されている)。
コンプラ重視の鳴り物入りで就任した社外取締役:佐藤弁護士(および社外監査役の篠田弁護士)は、1年と2か月で辞任。
ヴァーナロッサムのウェブサイトから両名の名は役員一覧ごと消えた。