NGT48事件史(NGT48暴行事件ほか) - (中文報道)中国語でどう報道されたか
本項では、NGT48暴行事件が中国語でどう報道されたかを概観する。
まず、繁体字と簡体字の傾向を提示。
次に中国における言論弾圧・検閲の事実から、中国で芸能活動を行う事のリスク。
そして各媒体における、NGT48暴行事件の実際の記事へのリンク集を扱う。

傾向分析

繁体字と簡体字

中国語の文字には、繁体字と簡体字がある。
以下、簡体字と繁体字の、使用地域と例文「ようこそ日本へ」の比較である。
繁体字使用地域:台湾、香港、マカオ
繁体字の例歡迎來到日本
簡体字使用地域:中国本土、シンガポール、マレーシア
簡体字の例欢迎来到日本
参考・引用元:「簡体字」と「繁体字」の違いとは?地域・言語・表記の違いを分かりやすく解説! | 日本コンベンションサービス株式会社 - JCS

総じて、NGT48暴行事件について報道が比較的多いのは、繁体字である。
以下、2021年2月6日午前5時現在の検索結果を表にしている。
検索言語検索語彙結果
繁体字「NGT48」5頁で終了
簡体字「NGT48」4頁で終了
繁体字「山口真帆」5頁で終了
簡体字「山口真帆」5頁で終了

自由な言論が保障されており、かつ東アジアでは比較的親日とされる台湾が繁体字の使用地域に含まれている事が、繁体字の記事の若干の多さに反映されているかもしれない。
ただ、香港で「政府寄り」すなわち「中国共産党寄り」とされる星島日報も、NGT48暴行事件では殆ど日本の報道に歩調を合わせていた事、さらには星島日報は繁体字も簡体字も扱っていて、記事それぞれで「繁簡轉換」「繁简转换」ボタンを押せば、簡単に文字表記を変える事ができる事を鑑みれば、繁体字メディアと簡体字メディアにおける「NGT48暴行事件」が扱われた頻度の差には、大きな意味は無いのかもしれない。

但し、今後、AKSの後継企業やAKSの元社員たちが「中国ビジネス」を考えているとすれば、中国共産党との関係をどう良好に保つかがカギになる。
その際に中国共産党の支配下で使われているのは、簡体字である。
今後、どのように検索結果が変化するかは、若干の注意を要する。

報道傾向

日本語記事とほぼ遜色なく、かなり詳しく報じている媒体もある。
意外な事に、香港メディアの中では「中国共産党寄り」とされる星島日報も、かなり赤裸々に報道している(繁体字記事も簡体字記事も配信している)。
少なくとも2021年2月5日現在までは、この件で中国共産党政府から「NGT48暴行事件を報道するな」という圧力は、かかっていないと思われる(但し細部の検閲の有無は不明)。

だが、「NGT48内で、山口真帆さんの卒業公演に駆けつけた7人」すなわち安心安全7にまで言及している中国語記事は多く無い。
安心安全7の名前が出る機会も希薄である。
まして「箝口令をかいくぐって、何とか言葉をひねり出したメンバー達が多数派であった」(NGT48の安心安全7と、その他のメンバー達を参照)までの報道は、見当たらない。

したがって、「現NGT48に、山口真帆さんに好意的、または内心好意的と思われるメンバーが多数いる」といった擁護の論調は薄い。
そのことで、むしろ日本語環境よりも中国語環境の方が、NGT48のイメージは悪いとさえ言い得る。

中国最大のSNS:微博における政府の検閲

微博(ウェイボー)は、中国最大のSNSである。
だがその場は、中国共産党政府による検閲が当り前の世界である。

新型コロナウィルスの危険を2020年1月に警告した医師 李文亮 氏は、地元警察から、これ以上「違法行為」をしないとする合意書への署名を強制されたと微博に投稿した。
その後に起こった事を、フランス通信社(AFP)が報じている。

>湖北省の武漢市中心医院が7日朝、李医師が犠牲者の一人に加わったことを微博で発表すると、無数の追悼コメントが寄せられ、李医師はソーシャルメディア上で英雄とたたえられた。
(中略)
>今回の問題を受けて、共産党が支配する同国でより大きな自由を要求する機会とみなす人も多く、「言論の自由が欲しい」「言論の自由を要求する」といったハッシュタグが現れては、検閲により削除されている。
>ある微博ユーザーは「中国国民には、一種類の自由しか許されていない。その自由は、国から、共産党から与えられた自由だ」と投稿した。
言論の自由と李医師の死に関する複数のハッシュタグは、7日の午前中に微博の検索結果から消えた。
(引用元・出典:(AFPBB)新型ウイルス警告の医師の死に怒り、言論の自由求める声も(2020年2月7日 22:52 発信地:北京/中国 )

微博(ウェイボー)で活動する人間は、中国共産党の検閲の下で活動する事と同義である。
仮に中国で微博の使用を伴う芸能活動を行うとすれば、日本とは比較にならないリスクを伴う事となる。

中国共産党との関係が良好な場合は、日本では得られない種類の利益があるかもしれない。

だが逆に、チベット問題、ウイグル問題、香港問題が国際的な関心を呼んでいるような場面では、何らかの中国共産党寄りの意見を出す事を求められるリスクも当然生じる。
2005年、台湾の台湾独立派の実業家 許文龍 が、中国に事業で進出した後、中国から圧力がかかり、許文龍は台湾独立の主張を撤回せざるを得なくなった例は、台湾・日台関係に関心のある者の間では知られた話である(許文龍氏はどうしてあの声明書にサインさせられたのか(日本政策研究センター所長 伊藤哲夫 2005/04/28))。

例:俳優リチャード・ギア、ほか

チベット問題で発言を続けている俳優リチャード・ギアは、熱心なチベット仏教徒かつ人道主義者としてチベット問題について発言を続けている。
そのことでオスカーを出禁にされ、中国市場を重視するハリウッドから追放され、大手との映画出演ができていない。
もっとも、ギア本人は「もうタキシードを着る必要がないのはいいことだよ」「大作でしわくちゃのジェダイを演じることに興味はない。ここ30年で成功して、今は小さな作品ができているから」等と述べており、信念を曲げなかったために大作には出れていない事は気にしていないようである(リチャード・ギア、反中国発言でハリウッド追放( 2017年4月24日 シネマトゥデイ))。

中国を批判した事でビジネスに影響が出て居る俳優はギアだけではない。
ブラッド・ピットは過去、チベットを題材にした映画への出演が問題視され長年中国を「出禁」になっていた。ハリソン・フォードも、中国に批判的である事で「ブラックリスト」に載っている(【聖林裏表】チベット問題批判で出禁も…圧力に屈しない名優たち ハリウッドと対極的な姿勢に高評価 - ZAKZAK(2017年5月22日))。

参考記事:【LA発】反中国で干されたリチャード・ギアが見せた気骨 自主製作作品で自身の過去最高の評価(zakzak2017.7.4)

中国語記事事例集

朝日新聞 中文網

中央通信社(台湾の国営通信社)

星島日報(香港のメディア)